誰かの仕事にしてはいけないもの

油断大敵から考える組織文化

「油断大敵」
よく使う言葉ですが、その語源を知ったのは比叡山延暦寺を訪れた時でした。
宿坊での朝のお勤めの後、講話の中で「不滅の法灯」の話を聞きました。

不滅の法灯

延暦寺には、1200年以上灯し続けられている「不滅の法灯」があります。

その火を守るために、菜種油が減ったら足す。芯が短くなったら交換する。気を抜けば火は消えてしまいます。

「油が断たれる」と火が消えてしまうことから、油断という言葉が生まれたと教わりました。

誰が管理しているのか

私は講話の中で非常に印象に残った話がありました。それは、「この法灯には担当者や当番がいない」ということです。

話を聞いた時は意外でした。仕組み化した方が確実ではないか。そう思ったからです。

しかし講話では、当番制を導入すると、「それは自分の仕事ではない」という気持ちが生まれると言います。

組織の中にも似たことがある

会社の中でも同じような場面があります。
例えば、

  • 品質
  • 安全
  • 育成
  • 情報共有
  • 組織文化

です。

担当部署はあります。責任者もいます。
しかし、
「担当がいるから自分は関係ない」と思った瞬間から、大切なものが少しずつ弱くなっていきます。

自律的に動く人が文化をつくる

私はこれまで、1on1や人材育成、組織開発に関わってきました。
その中で感じるのは、良い組織ほど「気づいた人が動く」ということです。
誰かに言われたからではなく、必要だと思ったから動く。
だから問題が小さいうちに解決されます。
だから学びが共有されます。
だから組織が育ちます。

誰かの仕事にしてはいけないもの

もちろん担当者は必要です。仕組みも必要です。
しかし、
組織の中には、誰かの仕事にしてしまうと弱くなるものがあります。
品質。
安全。
人材育成。
そして組織文化です。
そうしたものは、組織全員で守るべき「法灯」なのかもしれません。

おわりに

延暦寺で聞いた話は、今でも印象に残っています。

気づいた人が油を足す。気づいた人が芯を替える。

組織の中にも、そんな営みがあるように思います。
私は今でも、「それは誰かの仕事だから」と思った時に、この話を思い出します。
そして、本当に大切なものほど、みんなの仕事なのだと考えるようにしています。